2026年の手取りが少し増えた理由
基礎控除の引き上げを、実際の計算で確かめました。
手取りの計算機を令和8年分に合わせて書き直しているとき、基礎控除の欄で手が止まりました。104万円。数字としては知っていましたが、これが手取りにいくらの差を生むのかは、計算してみるまで分かっていませんでした。
104万円の控除が、実際にはいくらになるのか
控除は税額そのものではありません。課税所得から差し引く金額なので、効き方は税率で変わります。年収500万円だと所得税の限界税率は5%。104万円に5%と1.021(復興特別所得税の分)を掛けて、およそ53,092円になります。年収600万円まで上がると税率が10%になるので、同じ104万円が106,184円の差に変わります。控除の金額は同じでも、税率が高い人ほど大きく効くということです。
手取りで見るとこうなります
| 年収 | 手取り(年) | 月あたり | 社会保険料 | 所得税 | 住民税 |
|---|---|---|---|---|---|
| 400万円 | 3,178,000円 | 264,833円 | 587,600円 | 57,700円 | 176,700円 |
| 500万円 | 3,932,400円 | 327,700円 | 734,500円 | 91,100円 | 242,000円 |
| 600万円 | 4,662,000円 | 388,500円 | 881,400円 | 149,300円 | 307,300円 |
| 700万円 | 5,316,700円 | 443,058円 | 1,028,300円 | 278,400円 | 376,600円 |
東京都・協会けんぽ・40歳未満(介護保険なし)・独身・扶養なし・賞与なし(月割)での試算です。
額面に対する手取りの割合を出すと、年収400万円で79.5%、年収700万円で76.0%です。年収が上がるほど割合はじわじわ下がっていきます。この年収帯では社会保険料の料率が変わらないので、差をつくっているのは主に所得税の累進です。上の表で所得税の欄だけを縦に見ると、400万円から700万円へ収入が1.75倍になるあいだに、所得税は4.8倍になっています。
178万円というライン
給与所得控除の最低保障額74万円に基礎控除104万円を足すと178万円になります。ここまでは課税所得がゼロなので所得税もかかりません。実際に年収178万円で計算すると、所得税は0円と出ます。
ただし住民税は別勘定です。住民税の基礎控除は43万円しかないので、同じ年収178万円でも住民税は37,300円かかります。「税金がかからない」と言うときの税金に住民税は入っていないことが多いので、この二つは分けて覚えておくほうが安全です。
665.6万円で控除が37万円落ちます
基礎控除は全員一律ではなく、給与収入が増えると段階的に下がります。104万円が使えるのは給与収入6,655,556円まで。1円でも超えると67万円に切り替わります。
前後で計算してみると、所得税が37,800円増え、年間の手取りは37,799円減りました。収入が1円増えたせいで手取りが減る、という珍しい形です。年収がこの近くにある方は、賞与や残業でラインをまたぐかどうかを一度確認しておく価値があります。
780万円から厚生年金は増えません
厚生年金保険料の計算に使う標準報酬月額には65万円という上限があります。年収に直すと780万円でこの上限に届き、そこから先は年収が上がっても保険料は年713,700円のままです。年収が高くなるほど社会保険料の割合が下がって見えるのは、この上限があるためです。健康保険のほうにも上限はありますが、こちらは標準報酬月額139万円とかなり高い位置にあります。
毎月の明細にはまだ出ていないかもしれません
2026年分の所得から適用される改正ですが、毎月の源泉徴収に反映されるのは2027年1月以降です。2026年のあいだは年末調整で精算される形になるので、明細の所得税欄が去年と変わらなくてもそれ自体はおかしなことではありません。年収の壁まわりの制度変更は年収の壁 2026年の変更点にまとめてあります。
自分の年収で数字を見たい場合は、下の早見表から金額を選んでください。300万円から2,000万円まで、年収ごとに控除の内訳を出しています。
※ 令和8年分の税制改正(国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」)と、協会けんぽ東京都 令和8年度の料率にもとづく試算です。住民税は本来は前年の所得を基準にしますが、ここでは当年の所得で概算しています。